実現できるか否かは受入側の気持ちや考え方次第

特別養護老人ホーム 宇水園
大分県宇佐市
外国人スタッフ 3名 中国、カンボジア
取組内容
終末期(看取り)の体制が充実しており、春にはクリニック開院とますます介護と医療の充実を図っている『宇水園』。また、施設内のコンサートや映画鑑賞会が開ける200名収容の「エリザベートホール」を活用し、利用者さんとそのご家族だけでなく、地域の方々にも開かれた施設を目指しています。県北地域は福岡県に近く、一見、立地的に問題がなさそうですが、様々な職種において人材不足に悩まされており、中でも介護職は求人をかけてもなかなか人が集まらず、どの施設もとても深刻な状況です。そんな中で、現地での面接から約1年経った2019年 11月に第1号としてカンボジア国籍の実習生2人、中国籍の実習生1人を迎えました。
準備・検討
外国人スタッフを受け入れる当初の気持ちは
最初は、外国人をスタッフとして迎え入れることに抵抗がありました。文化や生活様式、宗教の違いをどう理解したらいいのかわからないというのが正直な気持ちでした。何より日本人スタッフと馴染むことができるだろうかという心配が大きかったですね。
考えが変わったきっかけは
施設でも国の制度で受け入れれば国と国との関係になります。異国に一人で来る若者に対して、受け入れる側として真摯に対応することが小さな国際交流だと思えるようになったからです。
採用・就労
外国人スタッフの日本語指導に苦労したことは
個人差はありますが、日本語の理解がある程度できていたので指導する上で特に大きな問題はありませんでした。唯一、気を付けていたことは「どんどん」「ピカピカ」など日常会話で使いがちな日本語特有の表現を別の言葉に言い換えたり、受け取り方で変わってしまうような曖昧指示をしない、ということでした。
教育体制
日本語の教育体制は
受け入れから3ヶ月間は、午前中を日本語学習にあてて介護や医療の専門用語を中心に学習、その他にネット配信されている教材や日本の昔話の絵本なども活用して反復学習をするなど日本語の強化を行い、日本語のスキルを上げていきました。午後からは指導者に付いての現場実習で介護技術を着実に身に付けてもらいました。勉強熱心な実習生は習得も早く、食事・入浴・排泄介助、口腔ケアなどの業務はもちろんのこと、夜勤業務にも早い段階で入ることができるようになりました。
取組の感想
外国人スタッフを受入れるメリットは
そんな彼女たちの存在は日本人スタッフの意欲を刺激し、満面の笑みが利用者さんの気持ちを明るく癒すなど、今では施設全体がより活気づくという相乗効果が生まれています。
理事長・石田敦子さんよりメッセージ
日本に移住してもらえたら本当にありがたいですが、帰国しても日本で身に付けた技術や文化を広めてくれることで、日本を好きになる人や日本に来たいと思う人が増えるなど、施設でもできる国際交流の可能性に期待して、今後も積極的に実習生を受け入れようと考えています。
※2021年1月末時点の情報です。